2007年5月

040
五郎治殿御始末 浅田 次郎
039
手で作る本 山崎 曜
038
物しか書けなかった物書き ロバート・トゥーイ
037
図書館戦争 有川 浩
036
永遠も半ばを過ぎて 中島 らも
035
犯人に願いを -悪刑事 森巣 博
034
彼方なる歌に耳を澄ませよ アリステア・マクラウド
033
キリスト教のことが面白いほど分かる本 鹿嶋 春平太
032
お腹召しませ 浅田 次郎
031
今夜、すべてのバーで 中島 らも



No.040 2007/5/31
五郎治殿御始末
五郎治殿御始末
浅田 次郎


今月読んだ「お腹召しませ」がとてもよかったので、その前作となる「五郎治殿御始末」も読んでみた。
300年にもわたる江戸時代が終焉して、突然世の中が逆さまになった武士の悲哀を描いている。これだけ世の中がひっくり返ることは、何百年に一度のことだろう。その時代の体制側に居合わせた人たちにとって、こんな不幸なことはない。が、そうもいっていられない。養うべき家族があれば、人間は生きなければならない。どう生きるか。

今にしてみたら、多額の住宅ローンを抱え、子供は育ち盛り、親の面倒もみなければならない、そして突然のリストラといったところだろうか。実際、こんな現実は絵物語ではなく、掃いて捨てるほどあるだろう。人ごとではない。苦境に陥った時にどう生きるか、この本を読む限り、私はまだ覚悟はできていないようだ。覚悟せよ!


No.039 2007/5/28
手で作る本
手で作る本
山崎 曜


とある知人に触発されて、手作り絵本に興味をもった。だいたい手作りで本を作ることなんて、想像もしなかった。けれど、贈呈された本を見てびっくり。素晴らしい。何とか私も作って見たいと思って、図書館で探した本がこれ。
けれど、内容が高尚すぎてちょっとね・・。別に芸術的な装丁の本を作ろうといんじゃないので、もっとド素人でも分かる内容の本がよかった。この本は、装丁家を目指すデザイナーには参考になると思う。



No.038 2007/5/26
物しか書けなかった物書き
物しか書けなかった物書き
ロバート・トゥーイ


ロバート・トゥーイは、80年代に活躍したアメリカの短編作家。ジャンルはミステリーだが、そのくくりでいいのかどうか。
若い頃、本を読み始めた頃にはまった阿刀田隆に雰囲気が似ていなくもない。どの短編も、ひねりが効いて不思議な味わいがある。
例えば、この本の表題の「物しか書けなかった物書き」から、どんな物語を想像できるだろうか。読んでビックリ。本の装丁もいい。イラストの馬は、物しか書けなかった物書きが生み出した馬なのか。

ロバート・トゥーイは忘れられた作家だと法月倫太郎は言う。しかし、忘れるにはあまりにも惜しいのでアンソロジーをまとめたそうだ。なるほど、確かにそうだ。
巻末の法月の解説を読むと、ロバート・トゥーイはこの短編集に登場する主人公のように、生活は苦しかったようだ。タクシー運転手をしたり、バーテンダーをしてその合間に短編を書く。一大決心をして、作家業に。それでも、生活は楽ではなかったという。こんなにシャープな短編をたくさん書いていても。もう少しで大きな賞も取りこぼし、いつのまにか忘れられて。今も所在は行方不明らしい。ある意味では、いかにもロバート・トゥーイらしいが。



No.037 2007/5/23
図書館戦争
図書館戦争
有川 浩


ナンダナンダこの本は。図書館を舞台に、ドンパチマシンガンで撃ち合うなんて。
角川のライトノベルで発行された本らしいのだが、いったいライトノベルって何? 初めて読みました。ライトノベル。勉強になりました。
恋愛小説のジャンルに、ハーレクインロマン(だっけ?)ちゅうのがありましたが、ライトノベルは、思うに(勝手な推測)、低年齢層(中高校生くらい)か、もしくは本を読むのは1年1冊くらいの方々を対象に、マンガに代わる読みやすくておもしろい小説のジャンルといえばいいのだろうか。
そうだ。もしワタクシめが今は去るン十年前のウブウブの頃に読んだら、これはおもしろい!と絶賛するかもしれない。しかるに、悲しいかなワタクシめは、すでに老境に入ったジジィだったりして。

ボヤキはともかく、あり得ない舞台設定をのぞけば、中身はオトメチックなラブストーリーだ。このまま少女マンガの原作になる。しかもこのラブストーリーは古典的(いいかえれば常套的な)だったりするので、過激な舞台とのギャップがおかしい。ドンパチでなく普通の設定で書いたら、もっと広く受け入れられる小説になったんじゃないか。唯川 恵の「肩ごしの恋人」みたいに。主人公の笠原はともかく、ルームメイトの柴崎は、肩ごしの恋人のるり子とよく似ている。

リウイチのホームページの書評はおもしろいぞ。
−−−
・・しのびよる自由への危機を、爽快なストーリーの中で描き出した「図書館戦争」は今もっとも読まれるべき1冊。狭まる自由に息苦しさを覚える若者と、見えない先行きに戸惑う壮年と、幼くして諦念に沈んだ子供たちと、老いてなお安寧に浸れない老人たちの気持ちに突き刺さる物語を受け止め、そして忍び寄る危機を己らの意志で退けよ。
−−−
この書評のアホくささと青臭さには大笑い。これでもプロみたいなプロフィールが書いてあったけど。(^^;

有川 浩 - Wikipedia
図書館戦争 - Wikipedia


No.036 2007/5/19
永遠も半ばを過ぎて
永遠も半ばを過ぎて
中島 らも


中島らもの2冊目。これもおもしろかった。
中島らもは、ハチャメチャなストーリーを書く作家のように勝手に思いこんでいて、これまで読まなかった。だって話題になった本のタイトルが「ガダラの豚」でしょう。何、これ?
で、たった2冊しか読んでいないが、この2冊はハチャメチャどころか、むしろ正統的な人情話だった。「寅さん」の映画を見終わった時のように、ホンワリした気持ちになる。さすが、元広告マン。押さえどころは心得ているようだ。ニヤニヤ。次はいよいよ「ガダラの豚」か。

この本は、97年にトヨエツ主演で映画になったようだ。相川がトヨエツかよ。オイオイ、それはないだろう。原作のイメージとスゲー違うぞ!

電車通勤のおかげ −永久も半ばを過ぎて
中島らもインタヴュー −憂鬱とお笑いの星の下に
Lie lie Lie -- キネマ旬報DB/ Walkerplus.com
中島らも - Wikipedia
あるいは中島らもについて


No.035 2007/5/17
犯人に願いを
犯人に願いを -悪刑事
森巣 博


この本は、「彼方なる歌に耳を澄ませよ」の直後に読んだ。言ってみれば、清らかで透明なせせらぎで遊んだ後、いきなりどぶ泥の汚水の中に突っ込まれたみたいなもんだ。でもって耐えられなくて、1/3ほど読んだところで投げた。読んだ順番が悪かった。あ〜不運な本。

「犯人に願いを」の犯人はホシと読むそうだ。悪刑事はワルデコ。本の中でも警察の隠語が次々と出てくる。森巣博は初めて読んだ。「犯人に願いを」は、ハチャメチャな警察小説だが、実は作者はいろいろ調べたり資料を漁っているうちに、あまりの警察機構や官僚・政治家の腐敗にあきれかえり、こういう主人公やストーリーを創作したのかもしれない。許す。
と思っていたが、Wikipediaを読むと、主人公の仲間の速見は、どうやら森巣博そのまんまのようだ。がっくり。
この本の中で、官房長官のAが(後に首相になった)、美人女優のFと不倫している高級ホテルで云々という記載があった。もしガセだったら、誰が読んでもAは阿倍なので、訴えられる危険性が高い。 これは本当のことのようだ。

95年の映画に「犯人に願いを」というのがあった。悪刑事二人組の設定は同じだが、どうやらこの本とは別物のようだ。この本は2002年発行だから、森巣がこの映画をパクったのか。

森巣博 - Wikipedia
映画「犯人に願いを」


No.034 2007/5/15
彼方なる歌に耳を澄ませよ
彼方なる歌に耳を澄ませよ
アリステア・マクラウド


原題は「No Great Mischief」。Mischiefを辞書で調べると、損害とかいたずらとある。日本語に訳すと、「たいした損じゃない」とでもなるのだろうか。さらに意訳すれば、「まぁ、いいじゃないか」。
これが日本版になると、「彼方なる歌に耳を澄ませよ」となる。本を読むと、このタイトルもいいなと思ったりする。随所にゲール語の歌が唄われているし。
心にしみ入るような小説だ。ストーリーは忘れても、読んだことを長く忘れない小説とでも言おうか。こういう小説はあまりないかも。

スコットランドやカナダの歴史を知っていれば、この本はもっとおもしろいだろう。その当事者であるカナダでベストセラーになったのも分かる。巻末にけっこう長めのスコットランドとカナダ歴史が記載されている。この歴史を読むと、人間は戦争ばかりしていたんだと改めて思う。今の日本では、戦争は遠い記憶になってしまったが。

すみ&にえ「ほんやく本のススメ」
Reading Group Guide | NO GREAT MISCHIEF


No.035 2007/5/12
キリスト教のことが面白いほど分かる本
キリスト教のことが面白いほど分かる本
鹿嶋 春平太


「ユダの福音書を追え」に触発されて、聖書を読んでみたり、キリスト教関係の本を読み始めた。タイトルからすると、キリスト教のことがオレみたいなサルでも分かるのかと思っていたら、甘くはなかった。本がヘボイのか、オレがアホなのか、おそらくそのどっちもだろう。

  • キリスト教の"GOD"は、普通我々が想像するところの神様ではなく、唯一の造物主をいうらしい。イエスは、そのGODから地上界に派遣されたという。
  • キリスト教は霊界を本質とする。目に見える世界は物質世界で有限。霊界は無限でありゆえに究極の癒しとなる。
  • 天国があり、天使がいる。
何だかよく分からない。まるでドラクエみたいじゃないか。キリスト教を信仰することって、一生をかけてロールプレイングゲームをするようなものなのか。そこには上がりはあるのだろうか。

キリスト教 - Wikipedia
鹿嶋春平太チャーチ


No.032 2007/5/9
お腹召しませ


No.031 2007/5/2
今夜、すべてのバーで
今夜、すべてのバーで
中島 らも


中島らもは初めて読む。彼は、薬中とアル中というぼんやりした記憶があった。たしか、最後は酔っぱらって事故死した筈だ。
この本を読むきっかけは、鴨志田穣の「酔いがさめたら、うちに帰ろう」だ。この本はそこそこ面白かったが、誰かのブログでアル中小説の白眉は「今夜、すべてのバーで」と紹介されていた。じゃあ、読んでみようと。

いやぁ〜、これは面白い。参りました。「酔いがさめたら、うちに帰ろう」はこの本に比べたら、ストーリーも文章も作者の教養も比較にならない。ただ、鴨志田穣の場合は、フィクションを装ったノンフィクションだった。軽く流して、最後の一文で、膵臓ガンの余命半年を告白されて読者はビックリ。一方こちらは、読んでいる時はかなり実話に近いのかと思っていたが、中島らもの評伝と比べてみると、かなりフィクション性が高いようだ。
それにしても中島らもは博学だ。灘高の出身だが、学生時代はぐれて勉学よりも酒や薬に精を出したらしい。大阪芸術大学を出てコピーライターになったそうだ。この本の中にも、その手の話が盛り込まれている。
医者の赤川は、山本周五郎の「赤ひげ」のもじりだろうが、いい味を出している。終章の少年の死を前にして赤川と主人公の乱闘と会話がいい。もっと中島らもを読んでみよう。

中島らも - Wikipedia
中島らも 公式ホームページ
中島らも・その他もろもろのページ -Hanadokei web site
日本テレビとCIA -新潮社